2015年12月31日木曜日

禁煙補助プログラムのアップデート

ブリティッシュコロンビア州で2011年にスタートした「禁煙補助プログラム」は、1年につき最大3ヶ月分まで、ニコチンガムやニコチンパッチを希望者に無償で提供するというものです。

これまでBC州政府が投入した額は3800万ドル=38億円(注)です。
(注:1ドル=100円で単純計算した場合)

BC州の健康保険番号をもっていることが前提で、手続きとしては、州健康省直轄のナースラインに電話をして参照番号を発行してもらいます。この番号を薬局にもっていき、パッチかガムかを選択すると、1か月分が「タダ」でもらえます。参照番号が、パッチであれば28枚、ガムなら324個と引き換えになるわけです。2ヶ月目、3ヶ月目と続けていくためには、毎回新たな番号の取得が必要です。

ところが、2016年1月1日からシステムが変わり、ナースラインに電話をする必要がなくなります。つまり、薬局へいって、ニコチンパッチ(orガム)をくださいといえば、必要なアセスメントは薬剤師が行い、これらの商品が「薬剤師により処方」されることになりました。
(もっともこれらはOTCですが。)

このような州の政策に対しては様々な意見があると思いますが、なにはともあれこれで肺がんの発生率が下がればそれにこしたことはありません。肺がんの治療(全額公費負担!)となったらやっぱり大変ですから。

薬剤師としては、今からニコチン補充療法の継続教育のテキストを探して知識をアップデートしておかなければなりません。あと6時間で2016年になってしまいますから。そして、2016年は元日から仕事です(笑)。

皆様、2015年は大変お世話になりました。2016年もよろしくお願い申し上げます。


[引用] http://www.merrittherald.com/b-c-makes-quitting-smoking-easier/

2015年12月28日月曜日

新年会のお誘い(朝!)

目の前に近づいている2016年新年会のお誘いを、再度お知らせします。
目的は薬剤師&受験生同士の交流を通して、情報交換し、またヤル気を上げていくことです。

対象:カナダの薬剤師を目指している人(または計画のある人)&カナダで薬剤師になった人
日にち:2016年1月3日(日)、9時~
場所:バンクーバーダウンタウンのカフェ(TBA ...人数に合わせて後で決定し、お知らせします)

一年に1回開かれるかどうかの非常に貴重な集まりです。

カナダで薬剤師を目指そうと思っている方は、是非御参加ください。

参加希望の方は、コメント欄からご連絡ください。(名前等がブログ上に公表されることはありません。)

2015年12月25日金曜日

個人的なクリスマスの過ごし方

子供が幼稚園や学校に通い始めると、私のような日本人家族が日本へ一時帰国出来る時期は限られてきます。どうせ12月は薬局が一番混雑する時期で、私としては非常に仕事が忙しくて休みがとれませんので、今回私以外の家族構成員が日本に帰ることにしました。もっとも子供達に「日本のお正月」を体験してもらうのは悪い話ではありません。

だからといって、プライベートに時間の余裕ができたかといえば、そうでもありません。
なぜかといえば、「勉強」が山積みになっていたからです!

地理的な条件により、都市部で行われる勉強会等に参加することは滅多にないので、オンラインで単位の取れる継続教育が私の勉強のメインです。そして、これらの章末問題には通常「提出期限」が決まっています。

色々なトピックがアップされる度にメールで送信されてきて、内容的に面白そうで、これは一度勉強したほうがいいかなと思うものは多々あります。

そして「これは時間を見つけたときにやっちゃおう!」と思っていても、そんな時間は一生見つかりませんから、気が付けば締切りが過ぎていた(!!)という残念なケースもあります。

勉強時間というのは無理矢理作らなければいけませんし、また形にこだわらず無理矢理にでもやらなければいけません。

一時は、ipadミニを使って、ダウンロードしたPDFファイルに書き込みしながら勉強していました。これで保存するべき紙の量が激減したのはいいことでしたが、たまに特定の章をやっていたことを忘れて、締め切りが過ぎてしまうことがありました。これは頂けません。大体、あれもこれもと色々ダウンロードだけして、勉強した気になってしまうのも良くないのです。

結構アナログ派なので、というか、そのほうが色々確実なことが多いと個人的には思うので、最近では読むべき資料や提出する課題等を全てプリントアウトし、ペンを片手に片っ端からやることにしました。勉強の基本に回帰です。

家ではずーーーっとクリスマスソングのかかっているラジオをつけて。また時には早朝からスタバにこもって。やっぱり朝の勉強っていいですよね。夜に比べて頭がはるかにクリアです。

どうしても電子的に保存したい資料などは、「ドキュメントスキャナー」(安くはなかったけど購入!)で読み取ってコンピューターに保存することにしました。でも、実際にそういう必要のあるものは意外と少ないんですよね(笑)。

そうこうしているうちに今日はもうクリスマス。明日になれば、お店やラジオのクリスマス音楽が一気にほかのものに変わってしまいます。毎年これは結構寂しいなーと思いますが、いつまでもクリスマスソングがかかっていてら、それはそれで季節感がなくなりますからね。

なんてことを思いながら、いまだに高い山のようになっている資料を一つずつ読んで、締め切りになる前に、また子供達が帰ってくるまでに出来るだけ沢山の問題を終わらせないと!と焦りながら過ごす2015年のクリスマスでした。









2015年12月20日日曜日

クリスマスシーズンのカナダの薬局

通学途中の小学生から、ハーハー息を切らしながらジョギングをするシニアまで、サンタの帽子を被り外を歩き、夜になればそれぞれの家がイルミネーションをキラキラさせ、その一方でクリスマスショッピングで小売店は大賑わい。こちらではクリスマスが日本の年越しに相当する位置づけですから、出来るだけ色々なことをクリスマス前に片付けてしまいたいと、誰もがソワソワした感じです。また遠方にいる家族も可能な限り実家に集います。

そんなに誰もが多忙なのに、昨日トラックを借りて自力で引越し作業をしていた隣人に、複数の通りがかりの人達が「手伝おうか?」と言って足を止めて箱を運ぶ作業を手伝ってくれていました。田舎の話ですが。そんな日本人的非日常に値するこちらの日常の様子を聞いて目を輝かせてしまう人、外国での生活に向いているかも知れません。

ちなみに薬局では、公的および民間保険が年末で一区切りする、すなわち12月にリフィルをオーダーすると自己負担額が一番少ないという人が多くいるため、今が最も忙しい時期となります。従って、サービス業としては一般的なクリスマスホリデーというのは望めないのはやや残念なところではあります。

2015年12月19日土曜日

新年会のお誘い

2016年を挑戦の年(!)としている方、是非御参加ください。

対象:カナダの薬剤師を目指している人(&カナダで薬剤師になった人)
目的:薬剤師&受験生同士の情報交換と交流を通し、やる気を上げていくこと。
日にち:2016年1月3日(日)
場所:バンクーバーダウンタウン(会場未定)
時間:8時半(または9時...未定)

参加希望の方は、コメント欄からご連絡ください。
(名前等がブログ上に公表されることはありません。)

Merry Christmas!!

2015年12月17日木曜日

IELTSのスコアとコツ

BCCP(BC college of pharmacist)から資料をコピーしますが、カナダで薬剤師になるためにはIELTSの各セクションで「6」、平均が「6.5」取ることが必要です。簡単に言えば、各セクションで6.5を取れれば合格です。

たとえそれが出来なくても、得意なセクションで7とか8の高得点をとり、苦手なセクションで最低6がとれば大丈夫ということです。これは、日本で薬剤師になった人であれば、それ程難しくはないことだと思います。もちろん一番の課題は、慣れないスピーキングになるとは思いますが。

2009年11月に改定されるまでは、もっと厳しくて、各セクション「6」、オーバーオール「7」が必要でした。言い換えると、全てのセクションで7をとる。または、どんなに苦手なセクションでも最低6、この場合には得意なセクションで8をとる必要があったということです。私はこれには非常に苦労しました。

勉強を始めた頃、リーディングセクションの難しさに驚愕しました。英語は得意なほうでしたが、どんな分野が得意なのかによります。サイエンス系に偏っているIELTSの問題は、単語の難易度が高く、問題もそれまでのトーフル等とはやや異なっていたため、理系でありながら本当に四苦八苦しました。では、どうやってそれを克服したか?

反復練習あるのみです。

最近のカタカナ好きの日本人向けに言い直せば、
「レペティション(repetition)」がキーポイントです。

同じ問題でも、違う問題でもとにかく「量」を重視した練習をこなすことで、傾向がつかめてきます。何のことは無い、日本の国家試験の勉強を始めたときと一緒です。まずは過去問からやってみるか、ひととおり終えたから同じ問題をもう1回やってみるかという感じで、でもそれが一番の近道です。

リーディングでいえば、誰もこんなことは私に教えてくれませんでしたが、
大問を1→3→2の順番で進めると一番効率が良いことに気が付きました。
大問2が他の2つよりも難しかったためです。順番を変えるだけで、大きく前進しました。

また、苦手なセクションは必要以上なスコアを求めないことも重要です。

私は当時、ライティングとスピーキングが得意にはなれませんでしたが、それでも最低の6だけは確保できました。数字をみれば激しくデコボコですが、リスニング8、リーディング7.5、ライティング・スピーキングともに6、これでオーバーオール7を確保したこともありました。立て続けに受けたその後のテストではもっとまともな点数の取り方ができましたが。

強調しますが、大切なのはレペティションです。
くじけずに頑張りましょう。


[引用] http://library.bcpharmacists.org/E-Registration_Licensure/E-4_Pharmacy_Technician/NAPRA-PT_LP_Reqs_Canada_Nov2009.pdf

2015年12月14日月曜日

日本にいながら準備出来ること(英語)

カナダで薬剤師を目指すほとんどの人が、受験とその準備の間、日本とカナダを往復します。結婚移民していない人の場合、長期滞在できるビザが無いことが大きな理由で、その他にも受験資金捻出のために一時就労するというのも普通です。

カナダの国家試験であるPEBCに対しての資金が多くかかるのは事実ですが、それ以外にも英語力を証明するテストの受験費用もバカになりません。

もっとも一般的なものがIELTSと呼ばれるもので、1回の受験費用が約2.5万円です。しかも残念なニュースは、これに1回合格する人はほとんどいないということです。「読み書き+聞く話す」の4技能のバランスが取れていなければならないためで、一つがズバ抜けてよくても、どれかが一定のスコア以下であれば、テストの受けなおしです。(この理由でIELTSを何度受験したことか。。。)

カナダへ来る人の間では一般的でも、米国では最近とりいれ始めた程度のものなので、TOEFLに比べて受験者の数が違います。つまり、日本語での参考資料は限られており、IELTSを日本語の参考書で勉強するのは結構大変ということになります。

でも、英語でグーグルすれば参考問題や模範解答資料は沢山みつかりますから、まるで路頭に迷うことはありません。

では、この英語のテストの勉強をどの段階でするか?です。

IELTSは日本でも受験できますから、究極的な話、ずーっと日本にいてもクリアできるテストです。将来カナダで薬剤師試験を受験しようという思いや目標が少しでもあるのならば、大学生のときからでも受験しておくべきです。また日本で働きながらでも受験するべきです。

私もそうするべきでしたが、「IELTSは点数がとりやすいからこれを受けるべき!」といった情報は、当時はありませんでしたから、何度となくTOEFLやTSE(別途開催されていたスピーキングのテスト)を受験し続けていました。(そしてその後テストを変えて、IELTSも何度も受けました(悲)。)今では薬局業務に差し支えなく英語を使うことができますが、子供の幼稚園で本を手にとってみれば知らない単語を目にすることはまだまだあります。

長くなりましたが、今日のポイントです。
将来カナダで薬剤師を目指す人、今からIELTSを受けてください。
100%日本にいながらクリアできるテストです!

2015年12月12日土曜日

オプショナルな薬剤師的専門資格

旅行医学の国際認定(Cetificate in Traveh Health)は、その一つで、私も2014年の試験(受験地:ベトナム・ホーチミンシティ)に合格して、これを取得しました。

これをとったおかげで、会社のミーティングやカンファレンス等で他の薬剤師との交流が増えたのですが、この中で気付いたのがアルバータ州の薬剤師の自分と比較にならない勉強熱。

ある薬剤師のEメールの名前の最後に羅列されている資格をコピると、
Additional Prescribing Authority
Certificate in Travel Health, ISTM
Certified Diabetes Educator, CDE
Certified Tobacco Educator, CTE

もはや当たり前すぎてInjection pharmacistとは書いていません。

また、この他にもCertified Asthma Educator, CAE。
さらにCOPDも包括する形でCertified  Respiratory Educator, CREという資格も存在します。

より良い患者指導=薬局サービス、患者さんにとって有益かつ薬剤師の専門性を発揮できるWin-Winの形が出来るよう、勉強を続けていくしかありません。

一つの資格をとったことで、視野が広がり、今後更に頑張ろうと思えました。





2015年12月11日金曜日

フルミストの薬剤師による投与が解禁

今はかなり落ち着きましたが、それでも一日に何人かがインフルエンザの注射を受けにやってきます。

そんな中、ブリティッシュコロンビア州では、薬剤師によるインフルエンザワクチンの経鼻投与が認められました。具体的には「フルミスト」の投与です。

11月の薬剤師免許更新の際には、オンラインのトレーニング(プレゼンテーションのみ)をとることが義務付けられていましたから、この動きは当たり前といえば当たり前です。12月3日まではトレーニングは受ける必要があるけれど、接種はできないという状況でした。もっともワクチンそのものの供給も遅れていたのですが。

以前にデモを触ったことはありますが、取り扱いは至って簡単です。

このように薬剤師が色々な仕事ができるようになっていくのは非常に良いことだと思います。

Qualified pharmacists can now administer intranasal immunizations. Effective December 3, 2015, the Ministry of Health made amendments to the Pharmacists Regulation, which allows qualified pharmacists to administer a drug (Schedule I, IA or II) or substance (Schedule III) by intranasal route.
http://www.bcpharmacists.org/news/intranasal-drug-administration-now-effect


2015年12月3日木曜日

薬剤師の処方権

遅ればせながら、ブリティッシュコロンビア州でも薬剤師により薬が新規処方できるような動きが出てきました。

BC州の薬剤師協会(College of Pharmacists of BC)の会議で、「Certified Pharmacist Prescriber Initiative」原案が承認されたとのこと。(November 20, 2015 Board Highlights)

医療費抑制という目的もあると思いますが、もっとも基本となるのは
"It also focuses on case scenarios where the pharmacist prescriber would benefit from patient care. "
の部分でしょう。

他の州では既に、報酬の発生する専門領域としての仕事として取り入れられています。

BC州の薬剤師の職能を拡げる新たな機会に期待が高まります。

[参考]

サスカチュワン州 Guidelines for Minor Ailment Prescribing

http://medsask.usask.ca/professional/guidelines/

アルバータ州 Additional prescribing authorization(APA)

https://pharmacists.ab.ca/additional-prescribing-authorization