2013年12月31日火曜日

Happy new yearの使い方

クリスマスが終わると、人と別れ際の挨拶がMerry ChristmasからHappy new yearに変わります。

英語の意味が分かっていない頃は、これが「あけましておめでとうございます」だと思っていましたが、これは少し違いました。なぜなら年が明ける前に、人にかける言葉としてはどうもそぐわないのです。

日本人の感覚に近いフレーズとしては、「よいお年を(お迎えください)!」の方があっています。

ですから、年が明けてからも使いますが、年が明ける前にはもっとよく使われます。

といったところで、2013年の間このブログを読んでくださった方々、そして勉強会に参加された方々、どうもありがとうございました。

Happy new year!

2013年12月29日日曜日

電話の内容

以前の勉強会で、「英語で電話」をすることがやはり日本人的には非常に難しいという話になりました。

そこで、私は職場で応対する電話の内容にはどのようなものが多いかを数えました。


  • 私のドクターが処方せんを電話でオーダーすることになっています。薬はできていますか?
  • リフィル処方せんをお願いします。/ まだファイルにリフィルは残っていますか?
  • 自動音声システム(automated system)でリフィルのオーダーが出来ませんでした。
  • 薬の配達をお願いできますか?
  • 薬の配達をお願いしたのに、まだ手元に届いていません。
  • 薬の在庫の問い合わせ(医師・獣医師)
  • 薬局のファックス番号は何番ですか?
  • ドクターからの口頭での処方せん(verbal order)
  • 他の薬局からの電話で、民間保険プランの番号の問い合わせ
  • まだインフルエンザの予防接種をしていますか?
  • 相互作用の質問
  • 薬局は開いていますか?何時まで開いていますか?(クリスマス、クリスマスイブ、1月1日)
  • 契約先のケアホームからの問い合わせ。ブリスターパックの注文・変更について。
  • 処方せんトランスファーのリクエスト。(すぐに送信しないと、その催促も。)
  • Free T3とFree T4の標準値はどれくらいですか?
  • 処方せんの有効期限について(=通常処方された日から1年。避妊用ピルは2年。)
  • OTCの在庫があるかどうか?
  • レンタル搾乳機の在庫と値段
  • レンタル松葉杖の在庫と値段

薬局業務なので、これらの質問に答えるには英語力だけではなく、その薬局のシステムと薬学的な知識も必要です。

不定期になると思いますが、これらの質問について対応する方法とフレーズを一つずつ解説していきましょう。

2013年12月28日土曜日

Minor Ailmentという言葉と領域

最近私の業界(カナダ)で特に流行ってきているというか、流行らざるを得ない状況になってきているのが、このMinor Ailmentという言葉です。薬剤師の処方権限とその領域についての話なので、そのうち日本でも流行るかもしれません。

Minor Ailmentにおける薬剤師による処方において、他の州の一歩先を行くサスカチュワン州では、Saskatchewan Drug Information Serviceが以下のような基準を定めています。


Criteria for Minor Ailment conditions
  • Can be reliably self-diagnosed by patient
  • Self-limiting condition
  • Lab tests are not required for diagnosis
  • Treatment will not mask underlying conditions
  • Medical and medication histories can reliably differentiate more serious conditions
  • Only minimal or short-term follow-up needed

確かにこれだけの条件を満たせば、その疾患は確かに"MINOR"と呼べる気がしなくもありません。なぜなら、これらの項目をもとに普段薬剤師は患者さんにOTC薬を薦めているからです。もっともこの辺は日本で仕事をしていても何ら変わりません。

では、具体的に以下の疾患と薬はどうでしょう?個人的には、まだ平気な気がします。
Mouth ulceration - triamcinolone dental paste
Oral thrush - nystatin drops

でも、ここまでくると「これが薬剤師の処方で大丈夫かな?」と思うのは私だけでしょうか?
Atopic dermatitis (mild – moderate)
Corticosteroids, low  - moderate potency (topical)
hydrocortisone cream 1 %, 2.5 %
desonide 0.05 %
betamethasone valerate
clobetasal butyrate
diflucortolone valerate
hydrocortisone valerate
mometasone furoate
triamcinolone acetate

Hemorrhoids
HC / zinc sulphate
HC /  zinc sulfate, pramoxine
(HC: hydrocortisone)

これらの薬が「とりあえずこれを試して様子を見ましょう的な薬」であるということに納得できなくもありません。しかし、これらの薬による治療が無効であったとき、またはその症状が他の疾患に由来している場合、患者さんをドクターの診察に送るタイミングが非常に重要になってきます。

資料 http://medsask.usask.ca/professional/guidelines/index.php


2013年12月24日火曜日

Merry Christmasの使い方

お客さんが相手の商売ですから、毎年この時期になると毎日この言葉を繰り返します。
かなり大きな文化の違いですが、クリスマスとは日本人感覚的には大晦日です。
人は全ての身の回りの片付けをクリスマスまでに終わらせ、遠方に暮らす家族が帰省してディナーを囲む、そんな雰囲気です。

英会話、というかタダの口の筋肉のトレーニングですが、誰かにMerry Christmasと言われたら、Merry Christmas to you, tooと返します。

これを字面で読むのか簡単ですが、これをクイックモーションで言うのは結構至難の業。
 「to you, too」の部分が詰まりやすいのです。

最もこれをいう以前にベラベラベラベラ喋ってますから、舌が絡まらないようにしないといけません。

しかしやはりこれは口の筋トレですから、毎年何度も言っているうちに慣れるといえば、慣れます。

でも難しすぎたら、Same to youとか言ってもよいですね。

ということで、Merry Christmas!




2013年12月23日月曜日

Retail的なクリスマス(就職を考えるときの参考に)

薬局であれば、近隣のクリニックの開業時間に合わせてお店を開けておくのは普通です。

それに全く関係なく、一般雑貨やクリスマス関係の商品なども取り扱っているチェーンドラッグストアは、この時期が1年で最大のショッピングシーズンなるため、非常に忙しくなります。

公的および民間保険は12月31日で会計年度が終わり、1月1日から新たに免責金額への積み立てが始まりますから、薬の割引が効いているこの時期にリフィル処方せんなどを処理したい人が多くやってきます。この理由から、私の薬局では12月はホリデーが取れません。私の働くチェーン店が一斉に閉店するのはクリスマスの12月25日です。もちろん他の会社では、この日も開店している薬局もあります。

Retail的にはこのような働き方が求められますので、参考までに。

独身のうちは大して問題ありませんが、家庭を持つようになると、また感覚が違っています。
どの職種でもそうかもしれませんが。



2013年12月22日日曜日

近未来のジェネリック薬価格 - 日本 vs.カナダ -

朝日新聞(オンライン)から、こんな記事を見つけました。


後発薬、先発の6割に値下げ 厚労省方針、来年4月から

新薬と効能が同じ後発薬(ジェネリック)について、厚生労働省は、来年4月の診療報酬改定で値下げする方針を固めた。今は発売時の値段が「先発品の7割」だが、改定後に登場したものは「6割」に引き下げる案を、18日の中央社会保険医療協議会(中医協)に示す。後発薬をさらに安くして利用を促し、医療費の膨張を抑えるねらいだ。 http://apital.asahi.com/article/news/2013121700007.html 2013年12月17日

カナダブリティッシュコロンビア州でも、2010年から政府が強硬的な姿勢で値下げを行っています。しかし、この数字を見る限り、日本のジェネリック医薬品の価格もまだまだ下がる余地があるのではないかと思うのは、私だけではないと思います。

Reimbursement Requirements

In 2010, PharmaCare began a phased decrease in reimbursement for generic drugs in the Low Cost Alternative and Reference Drug programs. The phases are described in the table below.
PhaseMaximum Accepted List Price (MALP)
Phase 1 
(Oct 15, 2010 - Jul 3, 2011)
Existing generics - 50 percent of brand list price

New generics - 42 percent of brand list price
Phase 2 
(Jul 4, 2011 - Apr 1, 2012
40 percent of brand list price
Phase 3 
(Apr 2, 2012 - Mar 31, 2013)
35 percent of brand list price
Phase 4(Apr 1, 2013 - Mar 31, 2014)Oral solids - 25 percent of brand list price

All other drugs - 35 percent of brand list price
Phase 5(Apr 1, 2014 - Mar 31, 2015)Oral solids - 20 percent of brand list price

All other drugs - 35 percent of brand list price
http://www.health.gov.bc.ca/pharmacare/formulary/generic-drugsub.html

この値下げのバックアップとして、調剤以外の薬局薬剤師のサービスに報酬がつくようになった、というのはオマケなようなもので、薬局経営は年々厳しさを増し、聞くところによれば新卒薬剤師の給料は大幅に下がってきています。

2013年12月21日土曜日

たまには新聞記事

B.C.’s drug cost burden a ‘ticking time bomb’

 

Economists warn skipping medications could have disastrous consequences BY RANDY SHORE, VANCOUVER SUN DECEMBER 12, 2013

簡単にまとめると、薬代をやりくりできない人が多く、これには様々な要素が絡んでいるものの、Fair Pharmacareの収入ベースで決定する免責金額にも問題があるでしょうということです。

しかし面白いのは、安価な薬に対する支出は減って、高額な薬に対する支出が増えている、という現実です。これには生物学的製剤(レミケード、エンブレル、ヒュミラ、シンポニー、etc)の台頭が大きく関与しています。


Spending on relatively inexpensive drugs to control high blood pressure and cholesterol has dropped more than 30 per cent in the past five years, while spending on immunosuppressants to treat conditions such as rheumatoid arthritis skyrocketed by $1 billion, tripling over that period.




2013年12月20日金曜日

2014年1月17日

在バンクーバー総領事館と日加ヘルス協会、隣組の共催で開かれる「BC州医療保険制度(MSP)& メンタルヘルス」で講演します。

担当するのはMSP部分で、過去にも日加ヘルス協会のセミナーで同じ内容で話をしたことはあります。

しかし今回は「子育て支援セミナー」ということですから、MSPウェブサイトにある一般論だけではなく、子育て進行中・準備中の世代の方の視点で、役に立つような内容をピックアップしていくつもりです。

日時:平成26年1 月17 日(金)午後6時から7時30分まで
場所:在バンクーバー日本国総領事館領事待合室(幼児室,授乳室準備


事前登録等は一切不要で、当日午後6時に領事館へ来ればよいだけ、です。

興味のある方は是非ご参加ください。

2013年12月16日月曜日

抗生物質の考え方? 11 (CAP-4)

Outpatient with modifying factors (外来、併発疾患あり)の話です。

原因菌はoutpatient with modifying factors でも登場した

  • Streptococcus pneumoniae
  • Chlamydophila pneumoniae
  • Mycoplasma pneumoniae 
の3つに加えて
  • H. influenza
  • M. catarralis
の2つが加わります。

ちなみに過去3ヵ月の抗菌剤の使用がある場合は、

  • Legionella pneumophilia
を加えます。

前回も書いたとおり、Legionella pneumophilaMycoplasma pneumoniae, Chlamydophila pneumoniaeの3つの菌が原因となる肺炎をまとめて非定型肺炎(atypical pneumonia)とよび、 グラム染色では鑑別できず、ベータラクタム系の薬が効かない肺炎です。これらの菌を別にして、その他のものをグラム染色の表にしてみると、抗生物質の考え方?7(AOM)でまとめた表がそのままここでも使えます。



Outpatient with modifying factors (外来、併発疾患あり)のDOCとしては、
First line:
Azithromycin
500 mg PO x 1 day then 250 mg PO daily (5 days)
Or
Clarithromycin
250 to 500 mg PO BID (10 days)

Second line:
Doxycycline
200 mg PO x 1 day then 100 mg PO daily (10 days)

-azith
-clarith
-amoxi
-doxycycline

過去3ヵ月の抗菌剤の使用がある場合(H. influenzae and enteric gram –ve rods implicated)には

First line:
Respiratory FQ (Levofloxacin, gatifloxacin, or moxifloxacin)

Second line:
Amoxi/clav + macrolide
Or
2nd gen cephalosporin (cefuroxime, cefprozil) + macrolide

となっているのが、2000年のガイドラインです。より新しいガイドラインが無いわけではありません。ただ、ボトムラインは、これらの薬を使うこと、これに尽きます。
Mandell LA et al. Canadian Guidelines for the Initial Management of Community-Acquired Pneumonia: An Evidence-Based Update by the Canadian Infectious Diseases Society and the Canadian Thoracic Society. Clin Infectious Dis 2000; 31:383-421.




2013年12月14日土曜日

抗生物質の考え方? 10 (CAP-3)

ときとして肺炎(CAP)の治療薬の考え方が面倒だと思ってしまうのは、その分け方が沢山あるからだと思います。

肺炎の種類(市中、院内、既往疾患)、病原菌の種類、ポイントによる重症度の決定と治療薬の選択などです。

だから、この辺は最小限でいきましょう。

薬剤師として知っておくべきことは全部ですが、本当にテスト対策に覚えておくべきことは治療薬の方がメインとなります。そしてここではそれを絞りに絞ってまとめています。

前回の記事では、CAP (Outpatient without modifying factors)の原因菌が3つ。
  • Streptococcus pneumoniae
  • Chlamydophila pneumoniae
  • Mycoplasma pneumoniae

このうちStreptococcus pneumoniaeは、以前に紹介したグラム染色の4分表でグラム陽性・好気性に属しますから、はあまあそうか、となります。
(ならない人は、復習して、そうなってください。)

しかし、あとのChlamydophila pneumoniae、Mycoplasma pneumoniaeは「非定型肺炎(atypical pneumonia)」と呼ばれる肺炎(の原因菌)としてグループ分けされることがあります。

非定型肺炎(atypical pneumonia)とは、Legionella pneumophila,Mycoplasma pneumoniae, and Chlamydophila pneumoniaeの3つの菌が原因となる肺炎のことグラム染色では鑑別できず、ベータラクタム系の薬が効かない肺炎です。

そういう分け方もできますが、最初からガイドラインのDOCにはベータラクタム系の薬が入っていません(どのガイドラインをみているかにもよりますが)。だからガイドライン上の治療薬選択としては定型か非定型かはあまり気にしなくてもいいのではないか、とりあえず知っていれば充分ではないかという話です。個人的には。

しかし、ここまで読んでもらえれば、たとえば原因菌がStreptococcus pneumoniaeと分かっている場合には、amoxicillinが処方されていても問題ない!ということも分かってくると思います。実際RxFiles第9版のチャートでは、DOCにamoxicillinも含まれています。

2013年12月13日金曜日

抗生物質の考え方?9 (CAP-2)

CAPで、outpatient without modifying factors (外来、併発疾患なし)の話です。
典型的なCAPの主な原因となるのは、大雑把にまとめれば以下の3つです。

  • Streptococcus pneumoniae
  • Chlamydophila pneumoniae
  • Mycoplasma pneum

これを例によってG+とG-の表にして考えてみてください(例外あり)。

治療薬としては、肺・上気道への組織移行性が良いマクロライド系(eryth, azith, clarith)、
またはテトラサイクリン系のdoxycyclineがガイドライン上は一番に用いられます。

最近仕事の中で特に多いのが、doxycyclineの処方せんです。
(シニア中心のコミュニティなので肺炎に罹る人が沢山います。)
おそらく耐性の問題でしょう。少し前までclarithromycinがほとんどでした。

2013年12月8日日曜日

12月7日のセミナー報告

寝ても起きても「英語、英語、英語!」と呼ばれる昨今ですが、英語を軸にIELTSとPEBCに対して、何を考えての具体的にどんな対策をすればよいかについてお話しました。

すでにIELTSのスコアは取得された方や、OSCE受験経験のある人もいましたので、非常に有意義な情報交換の場にもなりました。

ただ今日残念だったのは、実際のトレーニングの時間を充分に取れなかったことです。
(私の話が長くなりすぎてしまいました。)

ですから次回のセミナーをやることにしました。題して、
「1日で要領をつかむ薬剤師的アイエルツ体験!」

2014年1月中になりますが、日にちは未定です。
追ってこの場でお知らせします。

1回のアイエルツの受験料は非常に高額($295!)ですから、
ここで何度もつまずかないよう、全力でみなさんをサポートしていきます。

質問等があれば、連絡フォームかコメント欄からお願いします。

ともにがんばっていきましょう!