2013年11月30日土曜日

再度セミナーのお知らせ...12月7日「薬剤師的に英語力UP大作戦!」

まだまだ参加者募集中のセミナーについてのご案内です。

2013年12月7日(土)の午前9時から、バンクーバーのダウンタウンで「薬剤師的に英語力UP大作戦!」というタイトルで話をします。例によってインタラクティブな形が基本ですので、3時間と長めの時間を予定していますが、短く感じられることと思います。具体的な内容は以下のとおりです。
  • IELTSのスコアをとるために必要な英語力とその対策
  • OSCEにパスするための英語
  • 薬局での電話応対のトレーニング
  • インタビュー(就職活動)のための英会話
  • 英語で履歴書を書くポイント
  • 職場における日常会話のトレーニング
会場は参加人数に応じて決定しますが、少人数が基本です。
参加費は25ドル。セミナーの最後には今すぐカナダで就活できるレジュメセットを配布します。

独自の路線でやっていますので、興味のあるかたは是非ご参加ください。
問い合わせ・参加申込みは連絡フォームからお願いします。


2013年11月29日金曜日

この薬、アメリカでも買えますか?

最近アメリカに住んでいる方から一つの質問を頂いたので、この場で答えを共有したいと思います。

カナダとアメリカは隣同士の国ですが、薬事法規が異なるために、販売されている薬、処方せんの有無などは変わってきます。

私は業務中にカナダの薬がアメリカにもあるかどうかを知りたいとき、
Medline Plusというサイトを使っています。http://www.nlm.nih.gov/medlineplus/

例えばDepo-Proveraという薬の場合、商品名で検索すると、
Brand names
  • Depo-Provera®
  • depo-subQ provera 104®


と、2種類のブランドネームが見つかります。もちろん化学成分(一般名)でも検索可能です。

これと同様に、カナダ以外の国で使われている薬がカナダでも承認・販売されているかは、ヘルスカナダのDrug Product Database Online Query http://webprod5.hc-sc.gc.ca/dpd-bdpp/index-eng.jsp から調べることができます。

"83"さん、質問ありがとうございました。

2013年11月27日水曜日

抗生物質の考え方?8(CAP-1)

何度かに分けてCommunity Acquired Pneumonia(略してCAP)の説明をします。

一回で説明しきれないのは、治療薬の考え方が患者さんの状況によって異なり、その幅が割と広いからです。つまり、どんな細菌またはウイルスが原因となって、どのグループの人が罹患したかによって抗菌薬が選択されますが、その種類は一つではありません。

まずはどのように患者さんをグループ分けするかから始めましょう。

-outpatient without modifying factors (外来、併発疾患なし)
-outpatient with modifying factors (外来、併発疾患あり)
-nursing home residents in nursing home (介護施設入居者)
-nursing home residents in hospital (病院に入院した介護施設入所者)
-hospitalized patient on medical ward (一般病棟の患者)
-hospitalized in intensive care unit (ICUの患者)

◎単語◎
modifying factors (comorbid factors) = 併発中の疾患
nursing home=介護施設
hospitalized=入院中の
medical ward=一般病棟
intensive care unit=ICU、集中治療室

ガイドライン的にはこんなに風に分けて有りますが、これはちょっと数が多くて大変なので、外来患者のケースだけを見てみましょう。

-outpatient without modifying factors (外来、併発疾患なし)
-outpatient with modifying factors (外来、併発疾患あり)

すっきりしましたね。とりあえずこのグループに絞って原因菌をみて、DOC(drug of choice=第一選択薬)を抑えていきましょう。

2013年11月26日火曜日

抗生物質の考え方?7(AOM)

AOMとはAcute Otitis Mediaで、急性中耳炎のこと。
小さい子供が急に熱が出て耳が痛い!と言い出したときにはAOMが疑われます。

主な原因菌は、
- S. pneumonia
- H. influenza
- M. catarrhalis

ですが、鼓膜が破れている場合には(perforation)、

- S. aureus
- P aeruginosa

も考えます。四分表にしてみるとこのようなかんじでしょうか。



結論からいえばamoxicillinがDOC(Drug Of Choice)ですが、

その理由としてはamoxicillinがグラム陽性菌とグラム陰性菌の一部に効くからです。

では、ペニシリン系の薬にアレルギーがあったらどうでしょう?
スペクトラムに妥当な選択となるのは、マクロライド系の薬です。
Clarithromycinやazithromycinが該当します。

上記いずれの薬も粉が容器(bottle)に入った状態で棚に並んでおり、
これらは水と混ぜる必要があります。
(この作業をreconstituteリコンスティテュートと呼びます。)

Perforationの場合、点耳薬(Ciprodex = ciprofloxacin + dexamethasone)が処方されることもあります。

AOMは小児に多いものですから、用量はmg/kg/dayで頭に入れ、
薬局で仕事をする際には患者さんの体重の確認を忘れずに。
量は少なすぎてもダメ、多すぎてもダメです。

また自分で用量を確認した計算は、処方せんに全て書き残します。
日本では薬剤師は処方せんの原本にそんな書き込みしませんが、カナダではします。
薬剤師が処方せんに書き込みをしても、それが必要な情報であれば特に問題ありません。
むしろそのような書き込みがないと、用量のチェックをしていないと思われます。

Ciprodexという薬は、点耳とはいえ小児にciprofloxacinですが、結構よく処方されます。

さらに余談ですが、カナダには粉薬というものはありません。
粉のものは水と混ぜて患者さんに渡します。

参考
http://www.healthlinkbc.ca/kb/content/major/hw184385.html#hw184387



2013年11月20日水曜日

抗生物質の考え方?6(薬をみる角度と順番)

今日はこのシリーズを書きながら気付いたことをひとつ。

日本語の資料は、通常グーグルで探してタダで見れる程度のものしか見ませんが、抗菌剤についていえば、通常、薬の名前から特徴、性質、適応が順番にまとまっています。

しかし、カナダの薬剤師を目指す上でテスト勉強に必要なのは、残念ながらこれとは全く逆の思考回路で、EBMを基にして作られたガイドラインに沿った薬物治療の考え方です。つまり薬ではなく、症例(case)が先にあります。

感染の疑いがある患者さんがいて、必要に応じて検査・培養等が行われ、さて抗菌剤で治療しましょうと。第一選択薬(Drug of choice, DOC)はガイドラインで決まっていますが、これで本当にいけるかどうかを患者さんに確認する必要があります。

つまり「薬にアレルギーは?」、「年齢は?」、「腎臓機能は?」、「他の薬との相互作用は?」、「妊娠は?」などです。このあたりで薬の特徴や性質を抑えておく必要があることが見えてきます。

思考回路としては、感染症→原因菌→選択薬→用量→日数→その他の注意事項、という流れです。至って当たり前のことのようですが、このような思考のトレーニングなしで本番のPEBCのテストを受け、英語で感染症の症例問題がガンガンでてきたら、ハッキリ言って滅入ります。そうならないように、この思考の流れを意識してTherapeutic Choicesなどの参考書を勉強してください。

ちなみにカナダには、薬にアレルギーの多い人がたくさんいます。ビックリするくらいたくさんいます。そんな物質にアレルギーがあるということを一体どうやって特定したのかと思うような稀な物質にアレルギーがある人もいます。薬剤師(の卵)として、「薬のアレルギー」を何よりもまず第一に訊ねる習慣をつけましょう。

2013年11月18日月曜日

抗生物質の考え方?5(皮膚感染症のつづき)

前回日本語訳をつけてまとめた皮膚感染症について、原因菌と抗菌剤をセットにして表にしました。


皮膚感染症 原因菌 抗菌剤
impetigo  S. aureus cloxacillin / cephalexin
folliculitis, furuncles(boils)  S. aureus mupirocin / fucidic acid (topical)
carbuncles  S. aureus cloxacillin / cephalexin
cellulitis Mild: S. aureus cloxacillin / cephalexin
Severe(顔以外): Group a,b,c,g Strep cefazolin / clindamycin
Severe(顔): Group A Strep / S. aureus cefazolin / clindamycin


ここに出てくる抗菌剤はいくつもありませんが、本当にこれだけで用が足りるのでしょうか?

答えはイエスです。ここカナダには必要最低限の薬しかなく、しかしほとんどこれでカバーできます。

cloxacillin: 合成ペニシリン(ぺニシリナーゼ(クラスA β-ラクタマーゼ)抵抗性ペニシリン)
cephalexin: 第一世代セファロ
cefazolin: 第一世代セファロ
clindamycin:リンコマイシン系。
mupirocin、fucidic acid: 外用抗菌剤

以前まとめた表に従っていえば、皮膚感染症の原因菌はG+で好気性。大学で勉強した抗菌剤の特徴を思い出してみれば、これらの細菌に有効な薬は上記表中のものということになります。

aerobic
G+ S(Staph). aureus
S(Staph). Epidermidis 
S(Strep). Pneumoniae
Gp A β-hemolytic: S. pyogenes 
Gp A α-hemolytic: Viridans group
Gp D: Streptococcus


抗生物質の考え方?4(皮膚感染症)

そもそも自分が大学生のころは特別に皮膚感染症だけを勉強した記憶がありません。みなさんはどうですか?

Therapeutic Choicesのような本で勉強する皮膚の感染症は色々あるように見えますが、数は限られます。そしてこれらはどれも治療薬の選択という意味では難しいことはありません。

それというもの、皮膚からバイキンが入った=感染した→原因菌はS. aureus(黄色ブドウ球菌)であることが多い(もちろん複数の場合もあり)→ 抗菌剤を処方→セファロスポリン系がほとんど、という流れになるからです。

薬に入る前に、とりあえず皮膚の感染症の名前を一通り覚えましょう。

impetigo = 膿痂疹 (とびひ)
folliculitis = 毛嚢炎(もうのうえん)
furuncles(boils) = できもの
carbuncles = 癰(よう)、吹き出もの
cellulitis = 蜂巣炎(ほうそうえん)蜂窩織炎(ほうかしきえん) 

ちなみによくカナダの人は「スタッフインフェクション(Staph infection)になった」と言いますが、これはStaphylococcus aureusのことを指しています。皮膚にバイキンが入ったら、それは黄色ブドウ球菌であるという構図が頭の中にあるわけです。

1、2年前に、バンクーバーカナックス(アイスホッケー)の選手の一人の手が「スタッフインフェクション」になったのですが、これがなかなか治りませんでした。いつも手袋をはめて、競技の性質上とても摩擦も激しいので、治癒が難しかったのでしょう。スポーツニュースでは頻繁に「彼の手は今もスタッフインフェクションで・・・」といっていました。

こんなふうに話を繰り返したらもう覚えられますね。皮膚の感染症は、ほとんどが黄色ブドウ球菌=Staph aureusです。

また日本語で皮膚感染症の概念を知るには、マルホさんのこちらの記事が分かりやすかったです。
http://www.maruho.co.jp/medical/academic/fukuyakushidou/201008bacterialskininfection.pdf
http://www.maruho.co.jp/medical/sikkan/noukashin/pdf/keikoukinyaku_sentaku_point.pdf

2013年11月17日日曜日

セミナー開催のお知らせ→12月7日 薬剤師的に英語力UP大作戦!

カナダで薬剤師になるには、もちろん英語力が必要です。だからといって、ずっとカナダや日本で英語の学校に通っていても埒があきません。

考えてみてください。カナダで薬剤師になる際、本当に必要な英語力とはなんでしょう?

スコアが求められているIELTSでしょうか?しかし、IELTSの点数をクリアしたら英語で患者指導をして、薬歴が書けますか?またドクターと対等に電話で話せると思いますか?

本セミナーでは、カナダで薬剤師として働く際にどんな英語がどれだけ出来ればいいのかを分かりやすく解説し、また具体的なケースにおけるインタラクティブなトレーニングを行います。

日にち:12月7日(土)
場所:バンクーバーダウンタウン(参加人数に応じて決定。)
時間:午前9時から12時(3時間)
費用:25ドル

今まで誰も教えてくれなかった内容をスリムかつ具体的にまとめ、「カナダの薬剤師」への道のりにショートカットを示す少人数のセミナーです。セミナーの最後には、今すぐカナダで就活できるレジュメセットが手に入ります。申込み・問い合わせは連絡フォームから。
(尚、セミナーは参加者2人以上で開催します。)

2013年11月14日木曜日

抗生物質の考え方?3(菌の分け方)

これまでの2つの表をつなげて、中身を少しすっきりさせてみると、下のような大きな四分表になり、これで抗菌剤を使う原因菌がほとんどカバーできてしまいます。次回からは部位別に抗菌剤の使い方をまとめます。

(aerobic=好気性)
(anaerobic=嫌気性)
aerobic
anaerobic
G+ S(Staph). aureus  – Peptococcus
(黄色ブドウ球菌)
S(Staph). Epidermidis  – Peptostreptococcus
(表皮ブドウ球菌)
S(Strep). Pneumoniae – Clostridium sp
(肺炎球菌)
Gp A β-hemolytic: S. pyogenes  ...C. difficile
(化膿連鎖球菌, GAS) (偽膜性大腸炎, colitis)
Gp A α-hemolytic: Viridans group ...C. perfringens
(ガス壊疽, gas gangrene)
Gp B: S. agalactiae ...C. tetani
(破傷風, tetanus)
Gp D: Streptococcus ...C. botulinum
Enterococcus sp. (ボツリヌス中毒)
Bacillus (B.anthracis, B.cereus)
Diphtheroids 
…Corynebacterium diphtheriae 
(ジフテリア菌)
...JK group Corynebacterium
 (敗血症, sepsis)
...Listeria monocytogenes 
(リステリア菌)

G- - E.coli(大腸菌) - Bacteroides fragilis
- Klebsiella
(K.pneumoniae, K. oxytoca)
- Bacteroides sp.
Proteus (P. mirabilis, P. vulgaris) - Fusobacterium sp
- Enterobacter sp. - Prevotella sp
- Serratia sp. - Polyphyromonas
- Providencia sp. - Haemophilus influenzae
(インフルエンザ菌)
- Salmonella sp.
- Shigella sp.
- Citrobacter sp.
- Morganella sp.
Pseudomonas sp.
 (waterbug!)
- Pseudomonas aeruginosa
(緑膿菌)
- Burkholdaria (Pseudomonas) cepacia
- Stenotrophomonas maltophilia
- Moraxella catarrhalis

- N(Neisseria) meningitidis
(髄膜炎菌)
- N(Neisseria) gonorrhoeae
(淋菌)
Bordetella pertussis
百日咳菌(whooping cough)


2013年11月13日水曜日

抗生物質の考え方?2 (G-のもの)

今回はG - (グラム染色陰性) のものをまとめましょう。


G- Aerobe Anaerobe
Enterobacteriaceae (GUT & GU) (GUT, aspiration, chronic RTI)
...E.coli大腸菌 Bacteroides fragilis
...Klebsiella (K.pneumoniae, K. oxytoca) ...Bacteroides sp.
...Proteus (P. mirabilis, P. vulgaris) ...Fusobacterium sp
...Enterobacter sp. ...Prevotella sp
...Serratia sp. ...Polyphyromonas
…Providencia sp. - Haemophilus influenzae
(インフルエンザ菌)
...Salmonella sp.
...Shigella sp.
...Citrobacter sp.
...Morganella sp.
Pseudomonas sp. (waterbug!)
...Pseudomonas aeruginosa緑膿菌
...Burkholdaria (Pseudomonas) cepacia
...Stenotrophomonas maltophilia
Gram - Cocci
...Moraxella catarrhalis
...Neisseria sp. (N. meningitidis髄膜炎菌, N. gonorrhoeae淋菌)
Bordetella pertussis
百日咳菌(whooping cough)

GUT (gʌ́t) = 消化管、腸官のこと

GU = Genitourinary system 尿生殖器系
RTI=Respiratory tract infection 呼吸器系感染症

2013年11月10日日曜日

抗生物質の考え方?1 (G+のもの)

まずは細菌を2つのポイントをみて分ます。

①グラム染色Gram stain(G): +(positive) / -(negative)
②好気性(aerobic) / 嫌気性(anaerobic)

その上で今日はG+のものをまとめましょう。

anaerobic(嫌気性) aerobic(好気性)
G+ [Staph=Staphylococcus, clustersブドウ球菌] – Peptococcus
Coagulase (+): S. aureus – Peptostreptococcus
Coagulase (-): S. epidermidis – Clostridium sp
[Strep=Streptococcus, chain連鎖球菌] ...C. difficile(colitis)
Diplococcus: S. pneumoniae(肺炎球菌) ...C. perfringens(gas gangrene)
Gp A β-hemolytic: S. pyogenes (化膿連鎖球菌) ...C. tetani(tetanus)
Gp A α-hemolytic: Viridans group ...C. botulinum(botulism)
Gp B: S. agalactiae
Gp D: Streptococcus
Enterococcus sp.
[Bacilli桿菌]
Bacillus (B.anthracis, B.cereus)
Diphtheroids (類ジフテリア菌)
…Corynebacterium diphtheriae (ジフテリア菌)
...JK group Corynebacterium (sepsis...敗血症)
...Listeria monocytogenes (リステリア菌)



2013年11月9日土曜日

苦手だった領域 その2

今回から過去の苦手領域第2弾のスタートです。そしてその領域とはズバリ、感染症と抗生物質です。

私が日本で国家試験を受けた頃(10年以上前)は、それぞれの抗生物質の作用機序を覚えることに全力を注いでそれでナントカ合格できました。

しかしその後数年してカナダでPEBCの受験をしてみると、抗生物質とは作用機序が全てではないことを残念ながら本番の試験の中で悟りました。問題を読んでいてもチンプンカンプンだったのです。

参考書をまとめなおして、自分なりにポイントを抑えたノートを作成し、これをバイブルのようにして勉強しました。ということで、これをこの場でシェアしていきますが、感染症と抗生物質というものは薬剤師が学ぶ範囲は非常に限られています。この限られた範囲について、理由づけをしながらキチンと考えていけば、自然に抗生物質は決まってきます。まずは、難しい!と思ってはいけません。

ところで日経メディカルオンラインでブログ「小児感染症科はじめて物語」を書かれている堀越裕歩先生の最近の記事に「抗菌薬を勝手に処方できる病院は時代遅れ」というものがありました。
未だに日本では抗生物質を適切に処方されていない様子が説明され、しかしその状態が改善可能であることを堀越先生は実践をもって示されています。ちなみに堀越先生は2008年にトロントにあるSick kids hospitalに留学された経歴をお持ちです。親近感を感じますね。(一方的ですが。)


2013年11月7日木曜日

11月5日のセミナーの報告

午後4時からバンクーバーアートギャラリーで、カナダの薬剤師業務および継続教育についてのセミナーを開催しました。終了予定時間を大きくオーバーしてしまいましたが、それも出席者の方の熱心さ・向上心から発生する多くの質問があったからに他なりません。久々に日本人薬剤師独特の探究心を肌で感じたと同時に、日本の業務から遠ざかっている自分の勉強不足を痛感しました。今回の話を日本に帰ったときのエネルギーに変えたり、またカナダで薬剤師を目指すにあたっての予備知識にして頂ければ幸いです。参加者の皆さん、最後までお付き合い頂き本当に有難うございました。

(当日使用したスライドは、情報を補足して近日中に直接Eメールで送付いたします。もうしばらくお待ちください)

2013年11月4日月曜日

セミナー→11月5日「カナダの薬剤師業務と継続教育」

いよいよ明日に迫ったセミナーのご案内です。
定員まであと2人。参加希望される方は連絡フォームへ。
詳細はこちらです。

場所:バンクーバーアートギャラリー内のカフェ
時間:11月5日午後4時~(ongoingの質疑応答を含めて約2時間を予定)
参加費:10ドル

みなさんにお会いできるのを楽しみにしております。

2013年11月2日土曜日

Birth controlについて14 (特殊なもの...Morning after pill)

Emergency contraceptive pills (ECPs)とも呼ばれます。

ここでいうEmergency(緊急を要する事態)というのは、子供を作るつもりはないのに全く避妊することなく性交した(unprotected sex)、避妊の方法としてコンドームを使用していたが途中で破れた・はずれた(カナダではよく聞く話)、レイプにあった等のケースです。

従来型の毎日服用するピルとの大きな違いは、「性交後に服用して避妊効果がある」こと。ただ薬の効果は服用のタイミングによって大きく変わります。

Levonorgestrel(0.75mg/tab)の錠剤が2錠入ったパッケージで販売され、「Plan B」と「Norlevo」(英語の発音でノーレボ。日本では商品名ノルレボ錠。2011年承認。)の2つのブランドがあります。服用方法は2通りありますが、今ではほとんどの人が①の方法をとります。
①2錠をまとめて飲む。
②1錠のんで、その12時間後にもう一錠飲む。

性交後72時間(3日)以内に服用するのが原則ですが、最長120時間(5日間)まで服用可能です。ただし、時間が経てば経つほど効果が落ちます。

日本人的感覚としてビックリすることは、これらがOTCであることでしょう。しかしとにかく緊急時に必要なもので、早く飲めば飲むほど効果は確実ですから、納得せざるをえません。

添付文書的には吐気などの副作用があるとされていますが、ほとんどの場合軽度のようです。心配な場合には吐気止めのdimenhydrinateを同時に服用するよう指示します。ECP服用後も予定通りに生理が来るとはされていますが、実際には多少の前後があるかもしれません。

事後の緊急避妊という意味では、銅ベースのIUD(intrauterine device)も使用され、こちらは性交後7日間まで挿入できます

機序については割愛しましたが、こちらも英語で説明できるようになりましょう。

http://www.healthlinkbc.ca/healthfiles/hfile91b.stm
http://www.planb.ca/pdf/monograph.pdf
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/201105/519903.html

2013年11月1日金曜日

Birth controlについて13 (特殊なもの...Progestin only pill)

経口のピルに話は戻りますが、progestinのみで構成されたものがります。(通常はestrogen+progestin。) Progestin only pillの頭文字をとってPOPと表記されることもありますが、商品名Micronor(マイクロノアと発音)のことです。Mini-pillとも呼ばれます。 

一錠中に0.35mgのnoerthidroneを含有するこのピルは1パック28錠で構成され、プラセボ(sugar pill, reminder pill)はありません。 つまり28錠がすべて「アクティブピルactive pill」なため、Day1からパッケージをスタートしてからDay28までを毎日服用します。 そしてその翌日からは新しいパッケージをスタートします。

 ラベルの指示としてはTake one tablet once a day for 28 days then start a new package。

特徴は、エストロゲンを含有するピルを飲むと血栓症のリスクが高まるグループの人(タバコ、35歳以上、肥満、授乳中など)が服用できることです。 また出血を減らし、生理痛、月経前症候群(PMS)を軽減します。 

患者さんに何より強調する必要があるのは、毎日同じ時間に服用しなければならない点です。 服用時間が3時間以上ずれた場合には、バックアップメソッド(つまりコンドーム)を48時間使用しなければなりません。

http://www.healthlinkbc.ca/kb/content/drugdetail/te7775.html