まだまだ終わらない薬局実習の難しさ。今回は薬局スタッフについてです。
処方せんの数や、その他薬局が提供しているサービス(ブリスターパック、糖尿病指導、トラベルクリニックなどなど)に応じて薬局で働く薬剤師の数が決まり、また薬局テクニシャン/アシスタントの数もそれに準じて決定します。あくまで薬局の総収入を山分けして人員を考えますから、「カナダの薬局では、一つの薬局にXX人の薬剤師が働くことになっている」という決まりはありません。仕事の量が多くて、それに伴って薬局としての収入が大きければ大きいほど、働く人の数が増えます。
私が実習生を見ていて大変だろうなと思うのは、ずーーーっと同じ薬剤師と一緒に働くことです。自分だけでなく、相手も多分飽きます。その薬剤師が、どんなに超プロフェッショナルで、教え上手でも、自分の仕事として片付ける必要のあることもありますし、やはり薬局業務は同じ作業を反復という部分が多いからです。この意味では、最低でも2人以上働いている薬局が実習先としては望ましいといえ、またそうすると、それぞれの薬剤師の仕事のスタイルを比べることで、自分に合った形を見つけやすくなります。「あ、この人のように患者さんに説明すればいいんだ!」といった具合です。ちょっとしたモノの言い回しや、ちょっとした作業の順番、仕事の片付け方など、やはり数を見て、色々比べたほうが勉強になります。反面教師のような人がいたら、それは自分の中で勉強と割り切れば言いだけの話ですし、やはり複数の薬剤師のいる薬局であればその人と一緒に過ごす時間は自然に限られてきます。
しかし、実習生として上手く付き合わなければならないのは、薬剤師だけではなく、テクニシャンやアシスタントと呼ばれるスタッフです。ただ単に「テクニシャン」と呼ばれて計数調剤や電話応対、レジ打ち、雑務一般を担当してきたスタッフは、PEBCによる公式の認定試験を受けることで、これまでよりも幅広い仕事ができる「Regulated Pharmacy Technician」へのステップアップの機会を与えられ、この道を選ばない人たちは、「Pharmacy assistant」という括りで呼ばれることになりました。究極的にはPharmacy Assistantは、その仕事に興味があって申し込んできた人であれば誰でも良いという話で、Pharmacy technicianの学校に行ったことがなくてもよいということです。その代わりに「Regulated Pharmacy Technician」よりも給料は安くなります。
給料という話で横道にそれますが、Pharmacy technicianのサラリーで検索するとC$10.75 - C$20.57http://www.payscale.com/research/CA/Job=Pharmacy_Technician/Hourly_Rate
という数字が出てきました。しかし、病院で働いているテクニシャンたちの給料はもっと高いと聞いたことがあります。1年足らず学校にいって、テストに合格して、時給20ドル以上もらえるのであれば、これはかなりいい仕事だと思います。日本で薬剤師が調剤薬局のパート勤務をした場合、最近は時給2000円を下まわることもある(!)という話を聞きましたから。
薬局スタッフというのは、一般的にいい人が多いものですが、たまにはソリの合わない人ももちろん出てきます。外国人薬剤師ということで興味をもって話かけてくれる人もいれば、君はその程度の英語力で何故にここにいるのか?本当にこれから薬剤師になるのか?という態度で接してくる人もいるかもしれません。また、薬剤師、テクニシャン、アシスタントに関らず、薬局は一般的に女性の多い職場ですから、日本でいう「お局」のような存在もあれば、人の好き嫌いによる派閥があることだってあります。「女性の多い職場は大変だよ、君!」と私にアドバイスしてくれた人は、1人や2人ではありません。実習生という立場では、もちろんそのような人間関係の渦に巻き込まれる必要はありませんから、自分のやるべきことを淡々とこなしていけば良いだけです。でも、やはり色々な人が集まって仕事をしている場所であることを知っておいて損はありません。よくよく考えてみれば、日本でもそういうことはよくあると思いませんか?国境を越えても同じような問題は存在するということです。
ちなみに何かの勉強会で聞いた話ですが、過去にどなたかが研究した結果によると、薬局で一番多いトラブルは「薬剤師とアシスタント/テクニシャンの人間関係」だとか。そんな場所へ飛び込んでいく日本人薬剤師へアドバイスの言葉をかけるとすれば...「実習生としてその薬局にいる期間は限られていますから、できるだけニュートラルにいきましょう!」。
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