ある程度仕事の流れに慣れてくると、「じゃあ、電話にも出てみて」の一言が実習生に投げかけられ、そこからはほとんど悪夢の始まりです。外国人薬剤師としては、それ以前に薬局テクニシャン/アシスタントを含むカスタマーサービスを要する業種で否応なく電話応対をした経験をもっていれば、それはかなり役に立つと思いますが、そうでなければ、これほど厄介なものはありません。
電話を通して聞こえてくる英語に慣れていないため、相手の言っていることを理解するのにまず苦しみます。電話の声の主は、ただ単に喋るのが早い人もいれば、曇った声の人もいますし、カナダ以外の国の出身の人であればハナから直す気のない強力なアクセントで喋るために、まあそれらについていけるようになるには時間がかかります。
また、その薬局の仕事にしてもスミからスミまで完璧には把握しない状態で電話に出ますから、例え英語が分かったとしても、相手が何の話をしていて、何を求めているかを理解するのに苦労します。
やはり一番恐怖心を植えつけられるのはドクターからの電話でしょう。概して喋るのが早い上に、ラテン語をそのまま読んでこられたり、いくつもの処方せんの更新を用量の変更とともにベラベラと読み上げられるとこれはほとんど拷問に近いこともあります。患者さんの名前のスペルを書きとめるのも最初の頃は非常に苦労します。
では、その解決策は何かというと、やはり「電話に出続ける」ことでしょう。これ以外に方法はありません。習うよりも馴れろとはこの作業にあるようなもので、電話はそのうち絶対に慣れてきます。電話をとるようになってから数日たって、相手の求めてくる内容の傾向がつかめると、どのような英語をアタマの中で用意すれば良いかがハッキリし、その次の言葉が出やすくなります。でもそのためには数をこなす必要があるのです。
傾向と対策という面では、既に2013年12月のブログの記事でよくある「電話の内容」をまとめましたので、これを以下にコピっておきます。このような内容を意識していれば、電話応対の恐怖心が少しは軽減するかもしれませんので、参考にしてください。
- 私のドクターが処方せんを電話でオーダーすることになっています。薬はできていますか?
- リフィル処方せんをお願いします。/ まだファイルにリフィルは残っていますか?
- 自動音声システム(automated system)でリフィルのオーダーが出来ませんでした。
- 薬の配達をお願いできますか?
- 薬の配達をお願いしたのに、まだ手元に届いていません。
- 薬の在庫の問い合わせ(医師・獣医師)
- 薬局のファックス番号は何番ですか?
- ドクターからの口頭での処方せん(verbal order)
- 他の薬局からの電話で、民間保険プランの番号の問い合わせ
- まだインフルエンザの予防接種をしていますか?
- 相互作用の質問
- 薬局は開いていますか?何時まで開いていますか?(クリスマス、クリスマスイブ、1月1日)
- 契約先のケアホームからの問い合わせ。ブリスターパックの注文・変更について。
- 処方せんトランスファーのリクエスト。(すぐに送信しないと、その催促も。)
- Free T3とFree T4の標準値はどれくらいですか?
- 処方せんの有効期限について(=通常処方された日から1年。避妊用ピルは2年。)
- OTCの在庫があるかどうか?
- レンタル搾乳機の在庫と値段
- レンタル松葉杖の在庫と値段
へー、こんなものか、と思って電話にでれば、大して怖くありませんよね。
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