2015年1月31日土曜日

Seasonal Influenza Vaccine for 2014-2015

インフルエンザワクチンの効果についてお話しましたが、実はこの冬はワクチンの種類等について全く触れていませんでしたので、ココでざっと復習しておきましょう。

こちらの資料の19-20ページ目にワクチンのまとめがあり、これはその辺に張っておくと業務上非常に便利です。 http://www.phac-aspc.gc.ca/naci-ccni/assets/pdf/flu-grippe-eng.pdf




いまやインフルエンザの予防接種といっても、様々な種類があるのが良く分かります。
投与方法はIMだけでなく、IntranasalとInterdermalのものもあり、またワクチンの構成として3価のものと4価のもの、live vaccineのものとそうでないもの、妊婦さんに投与してもよいものとダメなもの、そして対象年齢、投与回数など、特徴的な部分はこの表からきちんと抑えておきましょう。どこからでも質問はやってきます。

2015年1月30日金曜日

この冬のインフルエンザワクチンの効果

アメリカのCDCの発表ですが、2014-2015に用意されたワクチンの効果は低かったそうです。従って、”CDC urges early treatment of severely ill and high-risk patients”とのこと。


研究を開始した2004年のシーズン以来、インフルエンザワクチンの効果は10%-60%とのことですから、ハズレの年もたまにもあるという風にとれます。インフルエンザ様の症状を持つ人が薬局に相談にきたら、レッドフラッグ的な症状をしっかりチェックし、必要に応じて医師の診断を促しましょう。

Since CDC began conducting annual flu vaccine effectiveness (VE) studies in 2004-2005, overall estimates for each season have ranged from 10 percent to 60 percent effectiveness in preventing medical visits associated with seasonal influenza illness. The MMWR report says this season’s vaccine offers reduced protection and this underscores the need for additional prevention and treatment efforts this season, including the appropriate use of influenza antiviral medications for treatment.


また、ニュースからこのような単語の使い方も覚えましょう。
underscore【他動】アンダーライン[下線]を引く、強調する
http://eow.alc.co.jp/search?q=underscore&ref=sa


1月29日のCBCニュースには "H7N9 bird flu case confirmed in 2nd B.C. patient" という見出しがあがりました。インフルエンザワクチンの効果が減弱する背景には、ウィルスの突然変異や新しいサブタイプの発現などが関連しているのでしょう。


薬剤師的に患者さんからの質問にどのように対処ができるのか、常に考える訓練は欠かせません。必要であれば、Compendium of Therapeutics for Minor Ailments を何でも調べるようにしてください。
http://www.pharmacists.ca/index.cfm/products-services/compendium-therapeutics-minor-ailments/ 



2015年1月27日火曜日

通訳のプロの話

長井鞠子さんという同時通訳者のドキュメンタリーで見ました。
プロ中のプロの仕事の様子を伺うことができ、非常に勉強になりました。

http://www.dailymotion.com/video/x1fnym1_プロフェッショナル-仕事の流儀-言葉を超えて-人をつなぐ-通訳者-長井鞠子_shortfilms


何より気迫と情熱が伝わってきますが、その他にも印象的だったことが2点。

ひとつは英語の発音と、そのハッキリさです。まるでしつこくないアールやその他の無声音の発音と、どこまでも音と意味がクリアになるように鍛えられたよどみない通訳。いかに間違いのないシンプルな言葉で、それぞれの言語の意味を説明できるかというのは薬局薬剤師にも共通するものがあります。

もうひとつは、20年たったベテランでも、準備を怠って仕事に臨んだら悲惨な目にあったという部分です。当たり前にするべき準備を怠っては大きな事故になってしまうことは、その人の仕事の経験年数によらないのですね。調剤と患者指導を中心とする薬局業務にも、やはり似たような部分があると思います。

常にベストの仕事をするため、当たり前の準備をあたりまえにして、日々当たり前のように継続教育を続け、そうすることで本当のプロに近づければいいなと思っています。





薬あれこれ - Emend Tri-pack

EmendとしてはNeurokinin 1 (NK1) receptor antagonistsであるaprepitantが主成分ですが、
このTri-packでは5-HT3 antagonistsであるondansetronとステロイドのdexamethasoneが一つのパッケージにはいっています。

適応症としては、
prevention of nausea and vomiting associated with your cancer chemotherapy treatment。

Tri-packのモノグラフ(添付文書)はこちら。
http://www.merck.ca/assets/en/pdf/products/ci/EMEND-CI_E.pdf

日本語で作用機序などチェックしたい人はこちらも参考に。
http://kusuri-jouhou.com/medi/digestive/aprepitant.html
http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/yakuzai/topics/aprepitant.pdf

でも、これだけでは薬剤師業務的には不十分で、
保険適応についても抑えておきましょう(BC州の場合)。
http://www.health.gov.bc.ca/pharmacare/pdf/DDS-0021.pdf

ちなみにEmend IVというものもありますのでこちらもチェックしてください。
http://www.merck.ca/assets/en/pdf/products/ci/EMEND_IV-CI_E.pdf

薬あれこれ - NYDA

最近急にシラミ駆除の薬を買いに来る親御さんが増えています。

これまでNIXという薬がほぼ主流でしたが、昨年発売されたNYDA(ナイダと発音)という薬も徐々に認知度が向上してきています。みなさんご存知でしょうか?

このような商品で大事なことは、成分や機序もそうですが、その使用方法です。
これまでのものとはやや異なりますので、しっかり覚えましょう。
NYDA should be applied to dry hair 
1. NYDA® should be applied to dry hair. Spray the hair roots thoroughly with NYDA®, massage in until the hair is completely wet and allow it to work for 30 minutes.
After 30 minutes the dead lice and larvae can be combed out with the NYDA
2. After 30 minutes the dead lice and larvae can be combed out with the NYDA® lice comb.
applying in the evening, allow NYDA to act overnight
3. If applying in the evening, allow NYDA® to act overnight (e.g. at least 8 hours). This will suffocate even tenacious eggs.
Note: Daytime use is also an option should it be more convenient.
Then, wash your hair with your usual shampoo.
4. Then, wash your hair with your usual shampoo. You can use any regular shampoo that you normally use.

8から10日後にシラミをチェックして、必要であれば2回目の処置を行うということです。
リソースライブラリーにいくと、パンフレットやビデオがあります。


Heathcare Closer to Home - Get to know your neighbourhood pharmacy team

Neighbourhood Pharmacy Association of Canada という団体がありますが、最近Youtubeでビデオをアップしました。誰もがすぐに足を運べる「近所の薬局」はあなたのためにあるのです、というメッセージです。


ちなみにこの団体のトップは、 最近のCBCの報道に対し、

“we know there is always room to do better”

とコメントしています。

現状に満足することなく、よりよいサービスを目指そうとしているカナダの薬剤師は決して一人や二人ではありません。


メディアが全てではない?

最近のCBCの報道により、今までよりも多くの患者さんが自分の薬について相互作用などを聞くようになっています。あれだけテレビで糾弾されたにも関らずです。誰がこんな効果を期待したでしょう?

薬剤師をやっている身としては、どこにカメラが隠されていて、次の瞬間自分の顔にモザイクの入った映像がテレビで流されるか分かりませんから、これまで以上に慎重に、また懇切丁寧に患者さんと接するようになりました。一層身が引き締まったわけです。

説明責任を果たしていないとか、調剤過誤の数は報告されていないものの大変な数に上るといった内容の先週のニュース。でも、昨日お客さんにこういわれました。



「あのような報道があったけれど、あれはウソだと思う。」


「自分にとって薬剤師は常に最善を尽くしてくれる存在だよ。」


これほど有難い言葉はありません。

もちろんシフト制で働く私の薬局では、誰か一人の力でこのような言葉がもらえるわけではありません。これまで薬剤師、テクニシャン、アシスタントなど立場を問わず、誰もがお客さんのために出来る限りのことをやってきたんだと、証明して頂いたような気持ちになり、とても嬉しくなりました。

もちろん全てのお客さんがそう思っているわけではないでしょうし、
そして何より大事なのはこれからです。

私たち薬剤師は、今色々な人から見れらています。お客さんの信頼を裏切らない、より良いサービスを提供できる薬局でいれるよう、最大限の努力していかなければなりません。
これは国境を越えて、世界のどこで薬剤師をしていても、共通のことでしょう。

2015年1月26日月曜日

リタイアメントパーティーにて

一度はリタイアしたものの、62歳位から乞われて私と同じ薬局で6年間に渡って仕事をした超ベテランの薬剤師さんが昨年退職されたので、このパーティーが行われました。

UBCの卒業は1960年代で、卒業写真の顔は、名前が下に書いてなければまるで分かりません。

またBC州の薬剤師免許の番号は2000番台。私の番号は10000番台。
どれだけ長きに渡って薬剤師として活躍してきたかが分かります。

62歳にして新しいシステムの薬局に入ってくることほど大変なことは無かったと思います。
異なるレセコン、シフト制、周りにも薬剤師が働いていることの違和感。
それまで小さな町で一人で薬局を切り盛りしてきたこの方にとってはもう別世界だったことでしょう。

私がこの方と仕事をするようになってすぐにお客さんに言われたことがあります。
"You are lucky to be able to work with him."

この言葉を理解するのには時間がかかりましたが、今はよく納得できます。非常に紳士な人柄で、決して同僚の文句を言わない潔い姿勢、また長年の患者さんから全幅の信頼を寄せられながら、妥協を許さずに仕事に臨む態度。もちろん、シフトの30分も早く来て、30分でも1時間でも残業代なしでシフトのあとも働くこともありました。でもこれは、年老いて仕事をしている自分が周りに迷惑をかけてはいけないという「心配り」によるものでした。

自分の周りにいる人から学ぶことは本当に沢山あります。
何かの縁というものでしょう。
良い縁が沢山もって色々なことを学べるよう、常に自分の姿勢も正して生きたいものです。

もちろん、ときには反面教師のような人もいるかもしれません。
でも全てが自分の糧になるはずと信じることが大切です。

本当に紳士的だったベテラン薬剤師に少しでも近付けるよう、
真面目に仕事に励んでいきたいと思います。



写真:散剤というモノがないカナダではまず見かけることのない試薬ビン。昔、自分の薬局で使っていたものをあげるといわれましたが、とてもキレイな状態で保存されていてビックリ!

2015年1月25日日曜日

NAPRAについて 2 [Pharmacists' Gateway Canada]

同じトピックを以前にも書いたことがありますが、このNAPRAという組織が、外国人薬剤師のカナダでの免許取得のためのプロセスを集約しました。
詳細→ http://napra.ca/pages/IPGsGatewaytoCanada/default.aspx

これが「Pharmacists' Gateway Canada http://www.pharmacistsgatewaycanada.ca/」 というサイトで、2014年の8月20日以降にDocument Evaluationをスタートする方は、全てこのサイトで登録し、プロセスをスタートすることとなった訳です。

外国人薬剤師がカナダで薬剤師になるまでの道のりは以下のようなチャートで示されています。
http://www.pharmacistsgatewaycanada.ca/what-steps-to-licensure.shtml


これを見ると、非常にやるべきことがハッキリしていますから、10年前からこのようなものがあったらよかったのになと思います。しかし、このGatewayに登録するには$325のお金がかかります。この費用に関するNAPRAの説明は以下の通りです。
The Gateway is managed by NAPRA (National Association of Pharmacy Regulatory Authorities). It is a not for profit organization and uses the enrolment fee to manage the Gateway operations which includes hosting the websites, providing client service and maintaining the accuracy and integrity of the information on the website and the data stored in the repository.
http://www.pharmacistsgatewaycanada.ca/faq.shtml

プロセス集約のために費用がかかるだなんて、判然としない人も多いとは思いますが、こうなってしまった以上、仕方ありません。

何かと変化が付きまとい、また大きな責任を負うと同時に、メディアに取り上げられることの多くなったカナダの薬剤師ですが、今後も日本から視野を広げるため、また日本からの移民に伴い新たな仕事としての選択肢を増やすために、このプロセスにチャレンジする方は増えていくものと思われます。そんなみなさん、是非、頑張ってください。私は応援しています。


2015年1月24日土曜日

NAPRAについて 1 [Model Standards of Practice]

カナダ薬剤師協会もそうですが、実際のところカナダの薬剤師業務全般についてガイドラインを示すのはNAPRA (National Association of Pharmacy Regulatory Authorities, http://napra.ca)という団体です。ご存知の方もあるかもしれませんが、PEBCのテストはこのNAPRAのガイドラインを基にしてデザインされています。2009年に発行されたModel Standards of Practice for Canadian Pharmacists( http://www.nbpharmacists.ca/LinkClick.aspx?fileticket=Rkl73GG37hU%3D  )では、以下の四点が薬局薬剤師のコアとなることが示されています。

• patient care
• drug information
• drug distribution
• management
• education 

非常に抽象的ではありますが、参考までに。

2015年1月23日金曜日

CBCから適切な問題対処方法を学ぶ

おとといからCBCニュースで薬局が頻繁に取り上げられるようになりましたが、この勢いが段々と増してきました。いまや、CBCは調剤過誤を経験した患者さんからの被害レポートを集めている状態ですから、今後しばらくこのようなニュースは続くものと思われます。

しかし逆にこのニュースから学べる、というか再確認すべきことは、数多くあります。

  • 誠意ある対応
  • 透明感をもった対応
  • 自分を守るよりも先に、患者さんをケアすること
  • 調剤過誤の防止策を再確認
  • 監査システムの再確認
などなど。

「エラーが起こったときには、その当事者に対して"ウルトラクリア"に対応していかなければならない。」

と私に教えてくれたのは、一緒に仕事をしているベテラン薬剤師です。非常に印象的な言葉で調剤過誤対処時の真髄を教えてくれました。言うまでもなく、そのような態度で仕事に臨む彼はお客さんから大きな信頼を得ています。

当たり前ですが、間違ったときには、下手に言い訳したり、色々隠したりしないことです。
Human errorだから仕方ないとかいう説明では済まされません。
何事にも共通すると思いますが、エラーしてもいいと思っている人は多くのエラーをします。
エラーしないように努力する人は、エラーの数が少なく、また小さなエラーで済みます。

日本でもカナダでも、薬剤師とは人の命が関る仕事です。
日々緊張感を持って、エラーをしない監査システムをもって仕事をしていきましょう。




2015年1月22日木曜日

マラリアに関するドキュメンタリー

今の時代、マルチメディアを通じて学習するのが効果的なのでしょうということで、最近少しだけ時間に余裕ができたときに、マラリアについてのBBCのドキュメンタリーを見ました。
Malaria - The Serial Killer - BBC documentary
https://www.youtube.com/watch?v=HL26nz31hEQ

これを見て、ようやく本で勉強した内容と現実とが少しだけ線で結ばれるような感覚をもつことができました。なんといってもアフリカには旅行したことが無いもので。非常に参考になりましたので皆さんも見てみてください。

ブリティッシュコロンビア州では、私のような薬剤師の運営するトラベルクリニックにおいてマラリアの予防薬の処方せんを発行することは出来ません。しかし、Chloroquine抵抗性や旅行の日程などを吟味してどの予防薬を用いるのがべストであるかの提案をし、医師に紹介状を書きます。

世界中を旅行する人が増えるに従って、このような薬の需要は大きくなり続けますから、色々な形で、また色々な情報源から勉強してみてください。




2015年1月21日水曜日

Tylenolという商品

Tylenolという商品名には、日本でもカナダでも馴染みのある人は多いと思いますが、Tylenolの商品名でありながら、それに「カフェイン」と「コデイン」を付加した製品については、日本にいると目にすることがありません。しかしながら、カナダでは非常に一般的な痛み止めで、医師からもよく処方されます。

通常、薬局の棚に並んで販売され、購入に際して処方せんがなくても購入できるのがごく普通のTylenol。もちろんジェネリックの製品もあり、成分名はacetaminophenと書いてあります。これらOTCの規格としては、Regular strength 325mg、Extra strength 500mg、Tylenol Arthritis 650mg。日本人の感覚的には信じられないような650mgといった高用量の錠剤がボトルで大量販売されていますから、カウンセリング時には副作用としての「肝障害」の説明が欠かせません。

また、Tylenolには番号がついているものがあります。1番から4番までがあり、これらの商品にはコデインが含有されています。1番のコデイン含有量が最低(8mg)で、4番のコデイン含有量が最高(60mg)となっています。ちなみにここでコデイン、コデインといっているのは、日本でも咳止めとして処方されるリン酸コデインCODEINE PHOSPHATEのことです。
[参考] リン酸コデインの作用機序:鎮咳薬: http://kusuri-jouhou.com/medi/obesity/codeine.html

カナダで処方せんが不要なのはTylenol #1のみで、#2から#4には全て医師の処方せんが必要です。
  • Tylenol 1 (325 mg acetaminophen / 8 mg codeine / 15mg caffeine)
  • Tylenol 2 (300 mg acetaminophen /15 mg codeine / 15mg caffeine )
  • Tylenol 3 (300 mg acetaminophen / 30 mg codeine / 15mg caffeine)
  • Tylenol 4 (300 mg acetaminophen / 60 mg codeine)
#1から#3までには15mgのカフェインが付加されていますが、これはカフェインがアセトアミノフェンの効果を増大するためであるのと同時に、カフェイン自体の血管収縮作用により頭痛に効果があるためです。


ジェネリックバージョンの薬も販売されています。例えばRatio-Lenoltecという名前で、番号がついていても同じ薬です。カナダの薬局業務ではこのTylenolという商品を知らずには成り立たないといっても過言ではない程、毎日沢山の処方せんを受けますし、OTCの痛み止めとしても患者さんに話をします。よく覚えておきましょう。

(シャープの記号「#」は、英語では「ナンバー」と読み、数字という意味です。)

2015年1月20日火曜日

CBCによる薬局調査の結果

昨日の仕事の帰りに車のラジオで急に薬局の話題になったので、よく聞いてみれば薬剤師がきちんと説明責任を果たしていないという内容。なんでも隠しカメラである薬の購入時の様子を撮影していたようなので見てみました。


Pharmacists fail to catch drug interactions

Hidden-camera investigation finds some pharmacists in 9 Canadian cities skip required drug counselling



このニュースのポイントをまとめると、
  • Tylenol#1(タイレノールワン)(acetaminophen 325mg, codeine 8mg, caffiene 15mgの混合剤)と薬剤師の介入度を調査。
  • Tylenol#1はBehind-The-Counter drug(BTC)と呼ばれ、医師の処方せんは不要であるものの、薬局内(通常レジの後方)に保管され販売される薬であり、基本的に薬剤師がカウンセリングを行うものとされる。
  • 薬剤師の相互作用等のカウンセリングがあったのは調査した50の薬局のうち、23の薬局のみ。
この調査の結果を報告を受けたCanadian Pharmacists Association (CPhA)の担当者によれば、“That’s not the norm”(これは通常ではない)としていますが、この調査の後のコメントとしては説得力に欠けます。

しかし現実的にはTylenol#1という薬は、頭痛などによく効くということで家に常備している人はカナダ全国に非常に多いので、いきなり薬局のカウンターにきて、
"Can I get Tylenol 1?"
"Can I get Tylenol with codeine?"
"Can I get behind the counter Tylenol?"
と、100錠から200錠単位のボトル(バラ錠)で購入していく人は毎日沢山います。値段にして200錠のボトルが12ドル程度。薬の効果に対して値段のお得感がおそらく強いのでしょう。

しかし「痛み止めが欲しいのですが...」 とアドバイスを求めてやってくるお客さんに対しては当たり前ですがカウンセリングをしますし、いきなりTylenol#1を進めることはまずありません。

たまに高校生くらいの若者がTylenol#1を求めてくることがありますが、このような年齢層には売りません。年齢が分かりづらいときは、身分証明書の提示を求めることもあります。麻薬としてのコデインの乱用を防ぐためです。

また、一度に4本とか5本の200錠のボトルを購入したいというお客さんもいますが、これも断ります。(もっとも何件もの薬局をハシゴすれば大量購入できるのでしょうが。)

薬局は小売業としてモノが売れればいいというものではありません。そこには薬剤師的倫理観や判断があって、販売時の条件や制限を設けています。ニュースの中では「相互作用」が強調されていますが、これがキッチリと発見および対処されなかったのは、同じ薬剤師として残念で仕方ありません。

2015年1月17日土曜日

Practice Review Program Launches

The College is excited to announce ... という出だしで始まるお知らせが届きましたが、こちらはあまりexciteしていません。定期的に薬剤師の質の管理をするという作業はこれまでもありましたが、それは筆記試験やコンピューターを用いた知識を問うようなテストどまりでした。しかし、これからは違います。

BC州での話ですが、Practice Review Programという名のもとに、薬剤師は6年に1回、カレッジ(≒州の薬剤師協会)から派遣された「Compliance Officers」と呼ばれる人の監視を受けながら仕事をすることになりました。コンプライアンスとは最近よくビジネス関係のニュースで耳にすることが多い言葉ですが、その「コンプライアンスの遵守」ができているかをチェックするのが目的です。簡単にいえば、薬剤師がまともな仕事をしているかを見極めるために、半日間だけマンツーマンの見張りがついて、監査を行うわけです。

チュートリアルまでまとめてありますから、これは今後噛み砕いて説明していきましょう。そんな中でもコアになるのは以下の4点です。

  • Patient Identification (ensuring the right patient gets the right medication)
  • PharmaNet Profile Check (ensuring medications are appropriate and work safely together)
  • Counselling (ensuring patients understand why and how to take the medication safely)
  • Documentation (ensuring accurate records are kept for each prescription)

当たり前のことばかりですが、その当たり前のことを当たり前にするのが一番難しいですよね。
監査に見られるであろう内容は将にそれのようです。忙しさにかまけて、ズルしてはいけませんよ、きちんとした仕事をしなさいという意味合いがあるのでしょう。

[参考資料] 
http://www.bcpharmacists.org/resources/readlinks/featured_articles/57.php

2015年1月15日木曜日

薬あれこれ - Zostavax II

帯状疱疹の予防に適応のあるZostavax IIというワクチンのproduct monographのリンクはこちらになります。http://www.merck.ca/assets/en/pdf/products/ci/ZOSTAVAX_II-CI_E.pdf

では、これだけの情報が患者さんからの質問に答えるのに充分かいえば、もちろんそんな訳がありません。では、これ以上の情報を得る為には何をみれば良いか?です。

概してワクチンや感染症についてこれ以上なく詳しい情報源といえば、CDC (Centers for Disease Control and Prevention)やImmunization Action Coalition (http://www.immunize.org/)です。

たとえばZostavax IIの注射を希望する患者さんのアセスメントのときに、

  • ワクチンの有効性(%)?
  • 対象年齢?
  • 年齢の上限?
  • MMRVとの違い?
  • Chicken poxを経験したことのない人にZostavaxを投与すべきか?
  • Chicken poxを経験したかどうかを覚えていない人にZostavaxを投与すべきか?
  • すでにShinglesに罹ったことのある人は、Zostavaxの注射を受けるべきか?
  • Shinglesに罹った後に、どれくらいの期間をあけてZostavaxを受ければよいか?理由?
  • Shinglesは接触感染するか?
  • Zostavaxは50歳以下の人に投与しても有効か?

などを聞かれたら、どうしますか?
これらの質問にすぐに答えられる人は多くないかもしれません。

ご心配なく。それは至って普通です。

ただ、こんなときはwww.immunize.orgを参考にします。
今のうちにこちらで勉強しておきましょう。
http://www.immunize.org/askexperts/experts_zos.asp








2015年1月14日水曜日

薬あれこれ - Fibristal

勤務先の薬局は、製薬会社の方が頻繁に訪問してくれるような立地にないので、新しい薬、稀にしか処方されない薬の情報には精通していないことがあります。というか、していません。OSCEでもそうですが、分からないことがあれば、たとえ患者さんの目の前であっても、その場で調べるのが基本ですから、そうすることはよくあります。ほんとうに昨日かおとといインターネットでみたような新しい薬が処方された場合、薬局のコンピューターにさえ登録されていないこともあるくらいですから。稀にしか見ない薬については、本当に自分の知識が薄いので、添付文書をみるしかありません。Fibristalというのはそんなもののひとつ。Googleして添付文書(product insert, product monograph)をみてみると、

Fibristal (ulipristal acetate) is indicated for:
Treatment of moderate to severe signs and symptoms of uterine fibroids in adult women
of reproductive age who are eligible for surgery. The duration of treatment is limited to 3 months.

これが本番のOSCEだったら、uterine fibroidsって何だっけ?ということから頭がパニックになりかねませんから、予め意味を覚えておきましょう。「子宮筋腫」です。

インターネットでproduct monographを検索すると、20~30ページにも渡るファイルが見つかりますが、通常最後の何ページかに「PART III: CONSUMER INFORMATION」があります。ここに最低限の情報が平易な言葉で書かれていますから、ざっと概要をつかみたいときにはこれを見ると便利です。困ったときのために覚えておいてください。

ちなみにFibristalを製造するActavisという製薬会社は、ジェネリック、新医薬品、バイオシミラー製品を開発、製造、販売する会社で、本社はアイルランドのダブリンにあるそうです。婦人科、泌尿器科、胃腸科、及び皮膚科領域にフォーカスした新薬事業も行っているとのこと。www.actavis.jp/jp/Press/Press/Articles/Actavis+Financial+2013.htm


参考資料
http://www.actavis.ca/NR/rdonlyres/ED44FEEC-4172-461D-9D4E-7C4FC47468EC/0/Fibristal_Product_Monograph_English.pdf

2015年1月13日火曜日

新年会の報告

1月11日に新年会を開催しました。すでにPEBC全てに合格した人から、これから受験を考えている人まで、多くの人に参加して頂き、有意義な情報交換ができました。

PEBCそのものの合格(DE, EE, QE)には、やはり多大な労力とコストがかかり、また全ての試験に合格したあとも、Injection trainingとそれに伴うFirst aidの取得と、就職活動を始める前にやらなければならないことが待っています。

しかもInternational Graduateにとっての仕事探しは非常に大変になっているという話もありました。

いやはや私がカナダで薬剤師になった7年前に比べて、色々な面で難しくなったことが多いなと感じました。しかしこれは、今のカナダの薬剤師には新たな仕事と責任が課せられており、全体として高いレベルの人材が求められていることの裏返しともいえます。

この困難を打開するための一番のポイントは、やはり「とにかく頑張ってやってみること」と、「あきらめないこと」でしょう。

スキーでたとえ話をします。転ぶのを恐れて斜面を滑らずにいれば、一生スキーは上手になりません。でもちょっと勇気を出して滑り出してみたら、意外とスイスイと斜面を下れるかもしれません。でも、そこでドテっと転んでしまったら、次にどうしますか?

もちろん立ち上がってまた滑りますよね。この日のためにスキーも借りたし、リフト券もかったし、せっかくスキー場まで来たし...。でも、今度はどうやったら転ばないかがちょっと分かる気がします。だからさっきよりも長い距離を一度に滑れそうです。でも、また転んだらどうしますか?

今度は最初よりも平気な顔してさっと立ち上がっていると思います。こうやって頑張って転んでも立ち上がってを繰り返しているうちに、滅多に転ばなくなっていきます。

問題集でもそうですし、OSCEの練習でもそうです。また就職活動でも同じことがいえるでしょう。どうにも上手くいかなくなっても、とりえあず頑張って何度もやってみることです。たくさん間違えたり、OSCEでどん詰まりになったり、インタビューの連絡がこなくても、諦めてはいけません。そのうちスイスイ進めるようになるときが必ずきます。そのときまで、何度でも立ち上がっていこうではありませんか。

ということで、今年もカナダで薬剤師を目指す人を応援していきます!
質問等は、いつでもコメント欄からご連絡ください。





2015年1月7日水曜日

新年会の内容

1月11日(日)に開催する新年会の内容に関するアップデートです。

昨年PEBCに合格された方からこれからEvaluating examの受験を考えている方まで、幅広く参加者が集まっています。これにより、様々な情報を交換出来るようにトピックを設定しました。

- 今後カナダで目指す人へのガイダンス
- Evaluation Exam勉強方法
- IELTSの攻略方法
- IELTSと実践的薬局英語を橋渡しするために
- オスキー合格体験談
- 子育てしながら挑むPEBC
- バンクーバーでの就職活動について【薬局を中心に】
- 最近の薬剤師のクリニカルサービスについて【トラベルクリニックを中心に】
- 日本語を話せるカナダの薬剤師に出来ること

色々な視点から、色々な方とお話しすることが目的ですので、肩肘張らず、
お気軽にご参加ください。

時間は朝の9時から、場所はバンクーバーダウンタウンです。
話し合いのあとには、ランチを予定しています。

参加希望の方は、コメント欄からお名前と連絡先を入れてコメントしてください。
(このコメントは公表されることなく、私の方に届きます。)

それではよろしくお願いします。

2015年1月1日木曜日

新年のご挨拶

明けましておめでとうございます。

ここカナダでは日本より一足遅れて年が明けますが、何年経ってもこれに慣れることができません。しかも個人的には大晦日と元日ともに仕事なので、日本的なお正月の雰囲気を楽しむ余裕がありません。

それはさておき、今年は昨年よりも多くの日本人がカナダで薬剤師になれるよう、全力でサポートして参ります。

本年も宜しくお願い申し上げます。