2015年1月20日火曜日

CBCによる薬局調査の結果

昨日の仕事の帰りに車のラジオで急に薬局の話題になったので、よく聞いてみれば薬剤師がきちんと説明責任を果たしていないという内容。なんでも隠しカメラである薬の購入時の様子を撮影していたようなので見てみました。


Pharmacists fail to catch drug interactions

Hidden-camera investigation finds some pharmacists in 9 Canadian cities skip required drug counselling



このニュースのポイントをまとめると、
  • Tylenol#1(タイレノールワン)(acetaminophen 325mg, codeine 8mg, caffiene 15mgの混合剤)と薬剤師の介入度を調査。
  • Tylenol#1はBehind-The-Counter drug(BTC)と呼ばれ、医師の処方せんは不要であるものの、薬局内(通常レジの後方)に保管され販売される薬であり、基本的に薬剤師がカウンセリングを行うものとされる。
  • 薬剤師の相互作用等のカウンセリングがあったのは調査した50の薬局のうち、23の薬局のみ。
この調査の結果を報告を受けたCanadian Pharmacists Association (CPhA)の担当者によれば、“That’s not the norm”(これは通常ではない)としていますが、この調査の後のコメントとしては説得力に欠けます。

しかし現実的にはTylenol#1という薬は、頭痛などによく効くということで家に常備している人はカナダ全国に非常に多いので、いきなり薬局のカウンターにきて、
"Can I get Tylenol 1?"
"Can I get Tylenol with codeine?"
"Can I get behind the counter Tylenol?"
と、100錠から200錠単位のボトル(バラ錠)で購入していく人は毎日沢山います。値段にして200錠のボトルが12ドル程度。薬の効果に対して値段のお得感がおそらく強いのでしょう。

しかし「痛み止めが欲しいのですが...」 とアドバイスを求めてやってくるお客さんに対しては当たり前ですがカウンセリングをしますし、いきなりTylenol#1を進めることはまずありません。

たまに高校生くらいの若者がTylenol#1を求めてくることがありますが、このような年齢層には売りません。年齢が分かりづらいときは、身分証明書の提示を求めることもあります。麻薬としてのコデインの乱用を防ぐためです。

また、一度に4本とか5本の200錠のボトルを購入したいというお客さんもいますが、これも断ります。(もっとも何件もの薬局をハシゴすれば大量購入できるのでしょうが。)

薬局は小売業としてモノが売れればいいというものではありません。そこには薬剤師的倫理観や判断があって、販売時の条件や制限を設けています。ニュースの中では「相互作用」が強調されていますが、これがキッチリと発見および対処されなかったのは、同じ薬剤師として残念で仕方ありません。

0 件のコメント:

コメントを投稿